日記「花ひらく人生」
2008年06月30日
『海からの贈り物』
今から100年ほど昔に生まれた
アメリカ人女性の文章であるのに
読み始めてすぐに
彼女と並んで海辺に腰を下ろし、
長いスカートの裾を押さえながら
寄せては返す波のように胸に去来する思いを
じっと抱きしてめているような気持になっています。
「女はいつも自分をこぼしている。
子供、男、また社会を養うものとして、女の本能の凡てが女に、
自分を与えることを強いる」
女であることの喜びも、哀しみも、孤独も、幸せも不幸も。
すべてこの「本能的に自分をとりこぼそうとする」ことから来るものだと
年を重ねる毎に深く感じるようになりました。
恋人も家族も、友人も、見ず知らずの人でさえ
自分の心の部屋に住まわせることができたらと願いながら、同時に
ひとりきりの隠れ家の扉を探している。
海のように尽きることがない愛を与えることを望みながら
海がけっして枯れることがないように、他の誰かが
源に水を注いでくれることを求めている。
時代も住む場所も違うのに・・・これほど深い親近感を
作者に覚えるのはなぜなのでしょう?
女という存在は、時空を越えて「海」でつながっているからなのかもしれません。
『海からの贈物』 アン・モロウ・リンドバーグ
(岩波新書 吉田健一訳)