日記「花ひらく人生」
2008年12月31日
「当たり前」のことが貴重で、ありがたい。
新しい年を、どこで、誰とお迎えでしょうか?
故郷で、あるいは旅先で。
どこで迎えても一年の始まりを迎える心は
静かで厳かに改まり、晴れ晴れとまたしみじみと。
いつもとは少し違う思いが胸に広がっていくものです。
ここ数年、東京の自宅で新年を迎えることが慣例となっています。
除夜の鐘を近くのお寺でつかせて頂き、
年越し蕎麦を食べ、初日の出を拝んで初詣。
ありきたりすぎるほど「定番」のお正月を過ごしています。
元旦のお雑煮も、お節料理も、ずっと変わらない定番の味。
1年に一度のこの定番が、わたしたち家族にとって新しい絆を結び直す節目であり、
これからの一年を共に助け合いながら生きていくための祈りの式典であり
それぞれが新しく成長していくための再生のときになっている。
ちょっと大げさでしょうか?
当たり前のことだけれど、続けるということ、そして続いているということ。
そのことが、とてもありがたく貴重なことなのだと思います。
ほんとうの幸せは「当たり前」の中に眠っているものではないでしょうか。
世界中の誰もがこの「当たり前の時間」を手にすることができますように。
すべての魂が、それぞれの安息の場にて平安のときを
すこやかに、過ごすことができますように。
新しい年に、あなたはどんな祈りを捧げますか?
2008年12月31日
ティク・ナット・ハン『禅への道』
年末年始はたっぷりと
読書する時間を大切にしています。
3年前の元旦はティック・ナット・ハン師の
『禅への道』に1晩を費やしました。
ちょうどわたしが生まれた頃に書かれたアメリカ留学の思い出。
美しい自然の描写から始まったのが、
章が進み、ベトナムの同士たちと過ごした
苦難の時代の挫折を回顧するものとなり、
友を失った痛み、ひとり助かったことへの罪悪感、しかし
深い心の傷と闘いながら新しい時代への希望を捨てず
現実社会の泥沼においても一歩一歩、足を踏みしめながら歩む師の姿に
圧倒され、滂沱たる涙を流しながら読みました。
それは単なる「感動」とは異なる体験でした。
これまでの読書ではまるで経験したことのないもので
著者がこの本を記したときの精神的なあり方が
白い光となって滝のように身体に流れ込んでくるような感覚は
後にも先にも、この本より他に未だありません。
そしてこの感覚は、あの大晦日の夜にだけ訪れたもので
後になって繰り返して読んでみても感動はあっても
同じ光を感じることは2度とありませんでした。
人生の不思議な瞬間とこの書とが遭遇した、という気がしてなりません。
「生は苦しみのなかにおいてさえ啓示である」 ティク・ナット・ハン